なぜ就職しなかったか。

大学4年。

多くの人はこの時期に就職活動を経験すると思います。大学に進学しなかったらもっともっと早くに経験してると思います。

 

しかし私はしませんでした。というより、どうしてもできなかったのです。

 

あの寸胴な黒いスーツを着て髪をひっつめ個性を消し、企業様の求める人物像に扮して、騙し騙され、消耗していくのが嫌だったからです。

 

もしかしたらもっと良いものなのかもしれませんが、少なくとも就活中の友人の様子をみて私には無理だと思いました。

 

茶髪が似合ってたあの子も、いつもオシャレなあの子も、みんなみんな個性を奪われて凡庸な白黒になっていくのが怖くもありました。

 

もっともみんなはそれを苦にする様子もなく、「少し我慢すれば済む話だから」とか「嫌なのはみんな同じだから」と乗り越えていました。

 

確かに、就職をするという一大イベントなのだから、多少イレギュラーなことがあっても仕方がないのかもしれません。外見を統一することで中身の違いを浮き彫りにする、あるいは社会のルールへの順応性を見るという目的もまあまあ合理的だとは思います。

 

ただ私にはどうしても耐え難かったのです。

 

こういうととても陳腐に聞こえますが、私は人と違うことにこそ喜びを見出すタイプです。

大多数の人がしていることはしたくない。人と同じことをしているとむしろ不安になるようなタイプです。物心ついてからこうなので、もはや自分の本質部分だと思っています。

 

これを読んでくださっているあなたもそうではないでしょうか。

 

私にとって、外見は思想の一部。

外見の個性を消すのはアイデンティティを消すことに等しいのです。

 

それに、集団面接やグループディスカッションという御社ヨイショゲーに参加する気にもなりませんでした。

作りに作ったワタシが気に入られて雇ってもらえたとしても、騙しているようで気分が悪いし、そんなワタシを私は到底維持できないと思ったからです。

 

もしも、この身を捧げてもいいという企業があればそういう我慢もできたかもしれません。

 

結果として私は就職を諦め、アカデミックな世界にひとまずエスケープすることにしました。

勉強していればとりあえずなんとかなる世界は楽です。

 

つづく